スメハラ大国ニッポン 日本人の約8割がスメハラの加害者!?

現代社会は豊かになり、欲しいものがなんでも手に入る時代になりました。
物質的な要求が満たされるようになると、人はより内面的な豊かさ、心のゆとり、美的なもの、清潔なものへと願望はシフトしてきます。周囲に認めてもらいたい、見た目が美しくお洒落でありたいといった気持ちなどが当てはまるでしょう。

このような時代の変遷に伴いスメハラという言葉を、最近頻繁に耳にするようになりました。
スメハラとはニオイを原因として、周囲に不快な思いをさせる事を指します。
ハラスメントの一種ではありますが、本人が意図することなく周りの人たちに迷惑をかけている場合も多いのが特徴です。

口臭

ニオイが原因で職場内がギクシャクしたり、周囲が気になっていても、 なかなか本人に指摘しづらい部分でもあることから問題も長期化しやすい傾向があります。
また、ニオイが原因で退職を余儀なくされたり、誹謗中傷を受けたりするケースも見られます。
生活にゆとりのない戦後の混乱期のような時代では、ニオイが問題として取り上げられることはほとんどありませんでした。

ところが、現代では多くの人達がニオイに敏感なり、ニオイを消すために香水をつけたり、タブレットを利用したりと試行錯誤しています。
今後はますますその傾向はエスカレートしてくるかもしれません。
余程、自らが発する臭いに敏感にならざるを得ない時代になったと言っても過言ではないでしょう。

スメハラで問題になるニオイと言えば、体臭、口臭が大半です。
また、最近流行りの柔軟剤や香水のニオイも好みが分かれ、ある人にとっては不快感を覚えるものもあり、スメハラに該当する場合もあるようです。強くニオイを発するものには注意をする必要があります。

ところで自らが発するニオイや身に付ける衣類の香りなどは、次第にあまり感じなくなるというのはご存じでしょうか。
嗅覚に限らず、同じような感覚の入力を受け続けると、感覚器官はその入力信号になれてしまい、それにあまり反応しなくなってしまいます。つまり、ある特定のニオイや香りにさらされ続けるとそれに対して非常に鈍感になるということです。

逆に、普段気にならなかった自宅のニオイが、何日かぶりに帰宅すると違和感のあるニオイに感じたことはありませんか。

口臭

毎日嗅ぐニオイに慢性的に慣れていたものが、久しぶりに嗅覚に触れると感覚器官が敏感に感じ取るわけです。

自然界には非常に多くのニオイが存在します。次から次へと嗅覚が刺激されているわけです。
そのすべてに反応していては感覚器官も疲れてしまいます。
また、新たな臭気を的確に判断するためにも、持続して刺激されているニオイに対しては鈍感になります。いわゆる嗅覚の疲労状態が起こっているということです。言い換えると、ニオイに慣れて「順応」した状態です。

では、自らが発しており、周囲に不快感を与えている状態を解消するためにはどうしたらよいのか考えてみましょう。
体内から発生するニオイではない香水や柔軟剤などは、その使用を止めればすぐ解決できます。
ところが、体臭や口臭はそう簡単にはいきませんよね。
生活習慣を改めたり、口腔清掃をマメにするなど行動改善が必要になるでしょう。

怖いのが、他人を不快にさせるニオイに自らが鈍感になっており、本人がそのニオイに順応してしまい気づいておらず、周囲の人達だけが気になっている状態です。
先程もお伝えしたように、感覚器官の特徴からそのようなことが生じやすいということです。私も含め、スメハラの源にならないよう細心の注意払う必要がでてきていると感じます。

私、歯科医師の立場からすると口臭の問題が非常に気になります。
ある機関の統計によりますと、日本に来た外国人の約7割が日本人の口臭が気になるそうです。
なぜそのようなことが言われるのでしょうか。

口臭の主な原因は、お口の二大疾患の一つである歯周病です。
以前には歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれていたもので、この呼び名の方が馴染みがあるかもしれませんね。
お子さんやお母さんを対象に、学校や保健所などで歯科保健指導が実施され、家庭での予防意識が高まったおかげで、虫歯は減少傾向にあります。
ところが、歯周病は若年者を含め増加傾向にあるのです。
50代を過ぎると、その80パーセントは歯周病に罹っていると言われています。

なぜ、これだけ多くの人たちが歯周病に罹ってしまうのでしょうか。
口の中には無数の細菌がいます。実際に、歯の表面や歯茎の境目についた歯垢と呼ばれる白っぽい汚れを顕微鏡で見てみると、小さい細菌がウヨウヨ動いているのが見えます。

歯垢は単なる食べかすと思っている方が多いのですが、中身の大半を占めるのが細菌やその死骸、細菌が出す排泄物なのです。特に、歯と歯茎の境目や歯と歯の間に、毎回の歯磨きで歯垢が取り残され次々と蓄積されると害を及ぼす細菌が多くなります。
細菌は毒素を排出しますので、生体との免疫反応により歯茎には炎症が起こります。
それが放置されることにより、炎症は深部まで広がり歯を支える骨までも溶かしてしまいます。
その結果、歯茎から出血したり膿がでたりします。
お口の中に堆積した細菌の住処になってる歯垢、そして歯周組織の破壊によって出てくる膿や血などが、口臭の原因になる嫌なニオイの源なのです。

食後に歯を磨くことによりある程度の歯垢は取り除くことができますが、全てを取り除くのは不可能と言われています。残った歯垢はやがて石灰化して歯石に変わっていきます。歯石になると歯ブラシで除去するのは不可能で、お口の中にどんどん溜まっていきます。その歯石の中には、歯周病を悪化させる細菌が非常にたくさん潜んでいるのです。

病気が進むと、歯を支える骨を失い歯はグラグラして物がよく噛めなくなります。
このような状態は末期の状態で、そこまで至るまでの段階はあまり症状のなく進行していきます。
ですから、何らかの症状を自覚するまでの間は、スメハラの原因となるような口臭が出ていてもおかしくない状態がずっと続いているということです。

ではその口臭を発する状態にならないようにするのはどうすればよいのでしょうか。
まずはご自身によるセルフケアをしっかり行うことです。
歯磨きを丁寧に行い、古い細菌が新しい細菌に置き換わるというサイクルであれば、それ程心配はありません。

口臭ところが、先程もお伝えしたようにパーフェクトに磨くことは不可能ですので、残った歯垢や 固くて取れにくい歯石を専用の器械で除去する必要があります。
専用の器械は、歯科医院にしかありませんので、歯科医院でケアの専門である歯科衛生士さんに除去してもらうしか方法がないのです。

先程、外国人の7割が日本人の口臭が気になるとの統計結果をお伝えしましたが、その理由は日本人の歯科医院の利用の仕方が原因の一つと考えられます。
日本人の多くは、歯科医院は何か不具合があれば行くところと考えている方が大半です。
歯が痛い、歯茎が腫れたなど自覚症状が現れたときに初めて、歯科医院を訪れます。
そして、痛みが取れ、腫れが引けるともう二度と行きたくない場所に変わってしまうのです。

一方、欧米人の多くの人たちは歯科医院を専門的なケアを受けるために利用しています。自覚症状が出てからでは遅いということを知っており、治療に踏み込まないようにするにはどうすればよいかを考えながら行動し、ケアを受けることを習慣化しています。
欧米人の定期的にケアを受けている人の割合は約8割と言われています。
一方で日本人は約1割程度です。
この差がどういう結果を生み出すのかといいますと、日本人は欧米人に比べ歯周病や虫歯に罹っている人が非常に多く、口臭をまき散らしている人の割合が極めて高いということです。

外国人が日本人のお口のニオイが気になる理由は、私達のお口の健康に対する無頓着さが原因なのです。
言い過ぎかもしれませんが、日本国内は歯周病のニオイが立ち込めており、日本人はそのニオイに順応してしまっているのかもしれません。
日本を訪れる外国人旅行者はどんどん増えています。2020年には東京オリンピックが開催されます。
その時までに、歯周病罹患者の数が減少し、外国人が日本人のお口の臭いが気にならない程度にまでになることを切に願います。

そのためには、まず個人個人が従来の考え方を改める必要があります。
歯科医院との付き合い方を見直すことが第一歩です。
本来、歯科医院は歯科衛生士さんが主役であるべきだと私は思います。
皆さんが、セルフケアで落としきれない歯垢や歯石を歯科衛生士さんが除去する。
それを定期的に行うことが、お口の健康維持には必須であるということを認識して頂きたいと思います。
自覚症状が出たときに、歯科医院に行くという習慣はもう古いということです。
欧米人からすると、とても時代遅れの考え方なのです。
むしろ、その過程に至らないようにするために歯科医院はあるのです。
虫歯ができたら行く場所、歯茎が腫れて出血があるから行く場所ではありません。
テレビのCMなどでよく耳にする予防歯科は日本ではまだあまり浸透していません。
予防なくして、口臭をなくすことは不可能であると私は考えています。

先日、某大手航空会社を利用して旅行をしました。
私は機内販売品の中に気に入ったものがあり、購入することにしました。
その際にキャビンアテンダントの方とのやり取りがあり、最初は気のせいかと思ったのですが、その方には口臭がありました。せっかく身なりを整え、立ち振る舞いも素晴らしいのにもったいないと感じてしまいました。
おそらく、ご自身は口臭に気づいていないと思います。
嗅覚が慢性的な臭いに順応してしまっているからです。
もしかすると、私以外でもその方の同僚や上司の方、あるいは他の乗客が気づいているかもしれません。
おそらく誰もそれを指摘はしたことはないのではないかと思います。

私は個人個人の意識改革はもちろん必要ですが、企業、さらには国が全力で口臭対策に乗り出す必要があるのではないかと考えています。口臭測定を全職員が受け、病的な口臭があれば症状に応じて対策をしていく。
たとえ、病的口臭を指摘されたとしても、気づかないまま悪化するよりはましではないかと思います。
臭いに敏感になりつつある昨今ですが、ややそれを指摘したりするのは別なハラスメントを生み出すことなどへの恐れもあり、タブー視される風潮もあります。
だからといって、問題を先延ばしにしていても解決は訪れません。
それと正面から向き合い、医療機関が国や企業とタイアップしながら少しづつ行動を変え、国民に良い習慣を身に付けてもらう必要があるでしょう。
私はこの世の中からスメハラという言葉が無くなることを願いますし、実際にそれは不可能なことではないと思います。

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